2013年1月31日木曜日

BURN ( DEEP PURPLE )


BURN (DEEP PURPLE) / 1974年2月発売



 Ian Gillan (Vo) と Roger Glover (Ba) がバンドを抜け、代わりに David Coverdale (Vo) と Glenn Hughes(Ba) が加入した第3期の1枚目のアルバムです。このアルバムは IN ROCK, MACHINE HEAD, MADE IN JAPAN と並ぶ DEEP PURPLE の 4大傑作と私は考えています。バンドの中心とも言えるボーカルまで代わるというメンバーチェンジを繰り返しても 売れるアルバムが作れるというバンドも珍しいですが、それは中心メンバーであるキーボードの Jon Lord とギターの Ritchie Blackmore の類いまれな音楽的才能の連携が大きく関与していたからと思います。

順調だと思われていた第2期のDEEP PURPLE でしたが、 1973年の2度目の来日公演の頃から Ian Gillan と Ritchie Blackmore の不仲は決定的なものとなり、ついに最終公演の6月29日の後で Ian Gillan と Roger Glover が脱退してしまいました。かつて Ritchie は Gillan のボーカルについて「LED ZEPPELIN のRobert Plant のような高音域まで出せるボーカリストを探していて Gillan を加入させたが、Robert Plant との違いは Gillan がアドリブをとれないことだった」と述べています。
Ian Gillan が抜けた後のボーカルは一般から募集することになり、当時全く無名だった David Coverdale が選ばれ、第3期 DEEP PURPLE がスタートしました。Coverdale のボーカルはGillan とは全く異なり、ソウルフルあるいはブルース調で これまでのDEEP PURPLE とは異なった雰囲気をバンドに与えました。

このアルバムタイトルと同じ1曲目の Burn は彼らの Smoke On The Water と同じくらい有名で印象的なメイン・ギター・リフを持った曲で この曲だけでもこのアルバムを手に入れる価値があると思います。さらに この曲では Ian Paice のドラムが素晴らしく、IN ROCK や MACHINE HEAD では聴けなかったドラムソロのような手数の多い斬新なプレイを聴かせてくれます。もちろんギター・ソロと非常に印象に残るクラシック調のキーボード・ソロも十分に聴き応えがあり、ハード・ロックの傑作と言って良い曲です。
全8曲、十分な完成度を持った曲ばかりですが、Burn の出来があまりにも凄まじいため、残りの曲は目立たない存在となっています。しかし、7曲目の Mistreated は ギター・ソロはもちろんのことソウルフルなボーカルが素晴らしいDEEP PURPLE の代表曲の1つと言ってよいと思います。

 DEEP PURPLE の歴史の中では第2期の Ian Gillan のボーカルの印象があまりにも強かったために すでにバンドのカラーとなっており、突然現れたCoverdale のソウルフルなボーカルは それまでのファンに違和感を与えたばかりでなく、Jon Lord や Ritchie Blackmore の音楽性となじまなかった様な気がします。事実、第3期のメンバーでの作品は次作の STORMBRINGER までの2作品で、その後は ついにバンドの柱である Ritchie Blackmore がブルース調、ソウルフルな作品を好む Coverdale や Hughes と合わなくなり 脱退してしまいました。その後、バンドはメンバーチェンジを繰り返し、一時 第2期のメンバーで再結成もされましたが、長続きせず、かつての様な傑作アルバムは生み出されませんでした。第3期のDEEP PURPLEを脱退したRitchie Blackmore は RAINBOW を結成し、相変わらず頻繁なメンバーチェンジを繰り返しながらも大成功をおさめました。

2002年に第9期 DEEP PURPLE が Ian Gillan, Roger Glover を中心に ギターにSteve Morse を迎えて結成され、現在に至っています。2005年に発売されたRAPTURE OF THE DEEP というアルバムはあまり知られていませんが、昔を彷彿させる様な曲もあり、結構ノリのいい曲がそろったアルバムです。



RAPTURE OF THE DEEP(Ⅸth DEEP PURPLE) / 2005年発売