2012年3月29日木曜日

UNDEAD ( TEN YEARS AFTER )

UNDEAD ( TEN YEARS AFTER ) / 1968年8月発売


このアルバムは TEN YEARS AFTER の 2 枚目のアルバムにあたりますが、セカンド・アルバムに いきなりライブ・アルバムを出してくることは大変珍しいことで 彼らが いかに自分達の演奏に自信を持っていたかということの表れと思われます。

このアルバムは 1968 年5 月に Klooks Kleek という London の小さなジャズクラブで録音されたものです。会場が小さいだけあって そばで彼らの演奏を聴いているかのような感じのする録音となっています。このアルバムで彼らは1950 年代のジャズやブルースと初期のロックンロールの合わさった古びたスタイルの熱気ある演奏を聴かせてくれます。60 年代にリリースされたロックのライブ・アルバムでは最高と言える1枚と思います。

このアルバムの一番の目玉は1969年の Woodstock Festival での熱演で有名になった「I'm Going Home」のオリジナルと言える演奏が聴けることです。Alvin Lee の早弾きのギターばかりが取りざたされますが、バックのベースやオルガンも熱い演奏をしています。この曲はこのアルバムでの演奏が最高と思います。
そして続いての圧巻は「I May Be Wrong, But I Won't Be Wrong Always」です。この曲はジャズ風のjam ですが、この曲でのAlvin Lee は鬼気迫ると表現してよいくらいの早弾きとテクニックのあるギターを聴かせてくれます。

CREAM の演奏で有名な Spoonful や Standing At The Crossroad ですが、 このアルバムでの彼らのジャズ風のアレンジもなかなか良いものです。

このアルバムは TEN YEARS AFTER を初めて聴くという人にはやや難解な曲が多く、はじめは馴染めないかもしれません。Ssssh あたりから聴いていただくのが無難でしょう。

2012年3月27日火曜日

PURE BLUES ( ALVIN LEE & TEN YEARS AFTER )

PURE BLUES ( ALVIN LEE & TEN YEARS AFTER ) / 1995年9月発売




1995年発売のアルバムで アルバムタイトルどうり TEN YEARS AFTER 時代から解散後のソロ時代の Blues に根ざした曲ばかりを選んだアルバムです。スローな Blues 中心の落ち着いた曲が多くなっています。もともと TEN YEARS AFTER は Alvin Lee 中心のグループで Blues 系の曲が多かったので Lee のベスト盤に近い編集と言っても良いでしょう。

このアルバムを聴き終わってみると Alvin Leeのギターには色々な評価があるかもしれませんが、早弾きのセンスはやはり大したものだと思われます。また 彼のギターは同じ Blues をやっている Gary Moore や Joe Bonamassa のギターに比べると やや音が古くさく感じられますが 自然な音で、それがかえって Blues 臭さを うまく出しているような気がします。これはおそらく彼がES-335 というセミ・アコースティックギターを使い続けているからでしょう。

Alvin Lee は George Harrison とも親交が深く、このアルバムの中でGeorge  Harrison が スライド・ギター を弾いている The Bluest Blues, Real Life Blues, Talk Don't Bother Me などは あまり知られていないのですが良い曲です。

しかし このアルバムだけでは TEN YEARS AFTER を理解するには不十分で、少なくとも先に紹介した 2 枚のアルバムを聴いたあとで 聴いていただきたいと思います。

2012年3月25日日曜日

LIVE AT THE FILLMORE EAST ( TEN YEARS AFTER )


LIVE AT THE FILLMORE EAST ( TEN YEARS AFTER ) / 2001年6月発売


TEN YEARS AFTER は 1974年の解散までにライブ・アルバムを含めて 8枚のアルバムを出しています。最も出来の良いスタジオ録音アルバムは先の Ssssh. と思いますが、他のアルバムが悪いわけではありません。しかし Blues への強い傾倒のためか、一曲一曲はすばらしいのですが、アルバムとして聴くと曲調がすべて似ていて 1つのアルバムで印象に残る曲が 1 ~2 曲しかないのです。

60 年代後半から70 年代前半にかけての ロックバンドは何と言ってもライブ演奏がすべてで、 神がかりなギターテクニックとオリジナルのギター・リフを持ったギタリストがバンドの中心となり、 聴衆はスタジオ録音では聴けない improvisation (即興演奏)の世界に酔いしれたものでした。Woodstock Festival での演奏や このアルバムを聴くと やはり TEN YEARS AFTER はライブバンドだということが確信されます。

このアルバムは 1969年8月の Woodstock Festival から 6ヵ月後の 1970年2月のFILLMORE EAST で行われた彼らのライブを素晴らしい音質で収録したアルバムですが、31年も経った 2001年に発売されました。伝説の熱演から時間があまり経ってないこともあり、変わらない演奏を聴くことができます。このアルバムは TEN YEARS AFTER の初期の名曲がほぼ収録されていますが、彼らの中期以降の楽曲がやや単調で、バンドが迷走状態となり 初期の勢いを失ったことを考えると 彼らが最高のコンディションにあった時の演奏で彼らのベスト盤と考えてよいでしょう。Love Like A Man, Good Morning Little Schoolgirl, I'm Going Home, I Woke Up This Morning など TEN YEARS AFTER のファンなら聴きたい曲はすべて収録されていると思います。また CREAM で有名な Blues の名曲 Spoonful も収録されていますが アレンジを比べてみるとCREAM よりもかなりBlues 色が強く感じられます。

このアルバムではAlvin Lee のボーカルは いつもながら、いまひとつですが、ギターはさすがに早弾きの先駆者と言われるだけあって素晴らしく、全篇を通して ES-335 を最高のパワーで思い切り弾きまくっています。新しい発見は バックのオルガン、ベース、ドラムが結構うまくまとまっており、ギターを盛り上げていることです。特にベースの Leo Lyons が素晴らしい仕事をしています。Woodstock でひたすら狂ったように頭を振り続けてベースを弾いていた男です。最近知ったのですが、Leo Lyons という人は 孤高の大名人といわれた Michael Schenker がいた UFO の有名なアルバムである「PHENOMENON-現象」のproducer だったのです。

LIVE AT THE FILLMORE EAST は TEN YEARS AFTER の絶頂期のライブです。 FILLMORE EAST と言えばいろいろなアーティストがライブを行い 名盤を残していますが このアルバムも間違いなく その1つです。

2012年3月22日木曜日

Ssssh ( TEN YEARS AFTER)





Ssssh ( TEN YEARS AFTER ) / 1969年8月発売




最近の Alvin Lee と GIBSON ES-335



SANTANA と同様に 1969 年の Woodstock Festival での熱演で人気を確固たるものにしたのが TEN YEARS AFTER でした。映画 Woodstock での10 分にも及ぶ「 I'm Going Home 」の Alvin Lee の般若面でのシャウトや縦横無尽のギタープレイは当時の語り草で これからも忘れられることのないシーンでしょう。

TEN YEARS AFTER は1965 年に結成され、ブルースをベースにしてジャズやリズム・アンド・ブルースなど多様なハード・ロックの原型とも言える楽曲をプレイしていました。このバンドの一番の売りは Alvin Lee のギターで 彼のギターは当時としてはおそろしく早弾きで「早弾き西洋一」と言われ、そのフィンガリングは「マシンガン・ピッキング」の異名をとっていました。
彼の愛用のギターは GIBSON ES-335 と言われるセミ・アコースティックギターでした。ES-335 の愛用者といえば Chuck Berry や B.B King が有名です。Alvin Lee はエフェクターは使わずにES-335 と Marshall Amp を直結し、Amp で歪ませてあの音を出していた様です。

10 年続くグループであるようにとの願いで作られた TEN YEARS AFTER でしたが、1974 年に解散したので願いは実現しませんでした。彼らの音楽は Muddy Waters や T-Bone Walker の様な本物のブルースに近い曲が多かったためか 一般の受けが悪く、Leeの早弾きに惹かれた人達も時代と共に離れてゆき、70年以降LED ZEPPELIN の様なブルースの影響はうけたものの、大衆受けするギター・リフとメロディアスな早弾きを売り物にするグループが たくさん台頭してきたため あまり評価されなくなり、忘れ去られてしまったのかもしれません。さらに Woodstock での熱演があまりもすごかったため それを超えるものを常に求められた結果、バンドとしての音楽活動が行き詰ってしまったとも考えられます。
しかし解散後も 時折再編して 80 年代から90 年代にかけて演奏活動を行なって来た模様です。最近は Alvin Lee 抜きで 新しいギタリストを入れて 新成 TEN YEARS AFTER として演奏活動を行なっています。

ここに紹介する Ssssh というアルバムは彼らの 4 作目のアルバムでロック名盤選には必ず選ばれるくらい定番化された傑作です。
「アクロバティックな早弾きだけ」などと陰口をたたかれる Alvin Lee ですが、このアルバムを聴いていると決してそんなことはないと確信します。派手なギター・リフは少ないですが「Good Morning Little Schoolgirl 」などでの彼の技量は大したものと思われます。バックのオルガン、ベース、ドラムの一体感も素晴らしく感じられます。
さらに 一度聴いたら忘れられない彼らの傑作の1曲が 最後の「 I Woke Up This Morning ― 夜明けのない朝 」です。この曲は私が TEN YEARS AFTER の曲の中で Love Like A Man と共に最も好きな曲ですが、1969 年に発表された曲ということで それ以降のブルース・ロックの新時代を切り開いた曲と評価してよいでしょう。

このアルバムは ブルース・ロック好きの人は必携の名盤と思われます。

2012年3月18日日曜日

SANTANA BROTHERS ( CARLOS, JORGE & HERNANDEZ SANTANA )



SANTANA BROTHERS / 1994年9月発売

SANTANA も MILAGRO で終わりにしようと思っていましたが、もう1作どうしても取り上げておきたいアルバムが残っていました。

この SANTANA BROTHERS は MILAGRO から2年後に発売されたアルバムで
BLUES FOR SALVADOR と同様、バンドとしての SANTANA とは別の Carlos Santana 個人のアルバムです。弟の Jorge、 甥の Hernandez との共作です。音楽的には MILAGRO の延長と考えてよい内容ですが、ボーカルなしのギタープレイのみのアルバムとなっています。日本ではあまりなじみのないアルバムですが、聴いてみると全曲素晴らしい、隠れた名盤と言ってよいかもしれません。

クレジットによると Carlos Santana が 単独でソロをとっているのは 3.Luz Amor y Vida と 6.Blues Latino のみとなっていますが、他の曲でも誰が弾いているのかよくわかりません。しかし Carlos Santana の Paul Reed Smith というギターは ちょっとこもったような甘い音が特徴なので なんとなくわかる部分があります。

4.En Aranjuez Con Tu Amor (アランフェス交響曲) はこのアルバムの圧巻で バンドとしての SANTANA のアルバムには まず収録されない曲でしょう。 5.Contigo は いかにも Carlos Santana らしい素晴らしい曲です。

このアルバムは かなり SANTANA を聴き込んでいる人しか知らないアルバムですが 3人のギタリストがのびのびとプレイしており、是非聴いていただきたいアルバムです。しかし、現在では 入手困難な様です。