2011年12月7日水曜日

BLUES FOR SALVADOR ( CARLOS SANTANA )


BLUES FOR SALVADOR (CARLOS SANTANA) / 1987年10月発売



 Carlos Santana のソロ作品として 1987年に発表されていますが、あまり知られていないと思います。しかし タイトル曲の Blues For Salvador は その年のグラミー賞の Best Rock Instrumental Performance 部門を受賞しています。

バックのミュージシャンが当時の SANTANA バンドのメンバーとほとんど同じなので ソロとバンドの名義の区別はないと考えてよいと思います。しかしCarlos Santana の Jazz への傾倒は強く、アルバムを売るためにPop 路線を歩まざるを得なかったバンドとしてのSANTANA とは別に 自分のやりたかったことを優先させたアルバムの1枚です。 このアルバムでは Jazz ミュージシャンの Tony Williams (ドラム)と共演しているのが興味深い所です。また 全体的に この頃のトレンドである Fusion や Funk の影響が強く見られるのも特徴です。

1曲目から かつてのスリリングな Carlos Santana のギターが炸裂し、強烈なラテン・パーカッションと絡み合うおなじみの SANTANA サウンドを聴くことができますが、以前のラテンの泥臭さが消え、代わりに Fusion の味付けがされています。2曲目の BELLA という曲は いつもの Santana とはやや違う 限りなく美しいギタートーンで穏やかに弾きこなされた大変すばらしい曲です。3曲目以降は Jazz やブルース、ラテン調のアレンジに加えて ハードロック調のアレンジも加わり、Carlos Santana の絶妙の早弾きのギターが全体を引っ張ってゆく曲ばかりです。

そして このアルバムのクライマックスは最後にやって来ます。最後の曲 Blues For Salvador はその名のとうり、ブルースギターソロをたっぷり聴くことのできる曲です。Carlos のワウを駆使した鬼気迫るギタープレイはすばらしく、まさに渾身の作品と言えるものです。SANTANA ファンには是非聴いて欲しい曲です。

2011年12月5日月曜日

ZEBOP ! ( SANTANA )



ZEBOP! (SANTANA) / 1981年4月発売



SANTANA を見出した伝説のプロモーター Bill Graham
  
毎週水曜日の午後11:00 から「SONG TO SOUL~永遠の一曲」という BS-TBS の 番組があります。歴史に残る名曲をとり上げて その曲の生い立ちを紹介する番組です。2011年11月27日はSANTANAのアルバム「AMIGOS」に収められた「EUROPAー哀愁のヨーロッパ」が放送されました。

内容を紹介すると; Carlos Santana の率いるバンド SANTANA を見出したのは伝説のプロモーターと言われる Bill Graham で 1960年代後半、Bill はサンフランシスコにライブハウス FILLMORE AUDITORIUM を作り、数多くのミュージシャンを世に送り出しました。イギリスから CREAM をアメリカに呼び寄せ、Eric Clapton の存在を世に知らしめたのも彼でした。

まだ ローカル・バンドだった SANTANA を Woodstock Festival (1969年) に出演させ、一躍人気バンドに押し上げたのも Bill でした。こういうわけで Carlos Santana にとって Bill Graham は大恩人だったのです。
番組では Santana と Bill が出会ったサンフランシスコを取材し、哀愁のヨーロッパの共作者であるキーボード奏者のトム・コスター(Tom Coster) や当時のバンドメンバーでパーカッショニストのアルマンド・ペラーザ(Armando Peraza) を訪ね、名曲が生まれた経緯を探って行きます。

アルバム「AMIGOS」以前の Carlos は Jazz や宗教に傾倒し、よりスピリチュアルで崇高な音楽を目指していました。「AMIGOS」の製作に加わった Bill はこの作品ではデビュー当時のラテン色が強く、パッショネートなサウンドに回帰する様、Carlos 達を説得し、その結果、「AMIGOS」は初期の SANTANA らしさに溢れたポップなアルバムとなったとされています。このアルバムの中の一曲が「哀愁のヨーロッパ」だったのです。


番組の中では他にも SANTANA の多くのヒット曲が紹介されましたが、一番印象に残ったのは 1991年にヘリコプター事故で亡くなった恩人の Bill Graham の追悼コンサートで Carlos Santana が演奏した I LOVE YOU MUCH TOO MUCH ( 哀愁の旅路 ) という曲でした。この曲は 1981年発売のアルバム「ZEBOP ! 」に収録されている曲で哀愁のヨーロッパと同様、ラテン歌謡路線ではあるものの、前半部の Carlos のしっとりとしたギターは最高の一言で さらにバラードからラテン・リズムへの移行部は これぞ SANTANA の本領発揮といった感じです(この曲でSantana が使用しているギターはYAMAHA - SG です)。

「ZEBOP ! 」はあまり知られていないアルバムですが、6.WINNING, 8.THE SENSITIVE KIND などの従来のラテン・ロック的な曲あり、4.SEARCHIN, 5.OVER AND OVER などのアメリカン・ロック的な曲あり、7.TALES OF KILIMANJARO, 10.I LOVE YOU MUCH TOO MUCH といった泣きのギターの聴ける曲ありで なかなか楽しめるアルバムとなっています。