2011年9月19日月曜日

FESTIVAL ( SANTANA )


FESTIVAL ( SANTANA ) / 1976年12月発売

前作 AMIGOS の続き(悪く言えば二番煎じ)とも言えるアルバムですが、さらにパワーアップしたナンバーが聴けるのが良い所です。それは AMIGOS で一時バンドを抜けたパーカッショニストのホセ・チェピート・エレアスが 復帰したことにあるとされています。彼の復帰で初期からの強烈なパーカッション・プレイが戻りました。

1. Carnaval,  2. Let the Children play,  3.Jugando  までは 強烈なラテン・ビートに乗って一気に聴いてほっとしてしまいます。 しかし 4. Give Me Love は いかにもAOR 的な曲で SANTANA に ふさわしいとは思えません。 5. Verao Vermlho は AMIGOS の Gitano と同じサルサ調で 好感のもてる曲です。
しかし 7. Revelations は Europa―哀愁のヨーロッパ の続編の様な歌謡曲路線で あまり好きにはなれません。その後は、フュージョン色の強いファンキーな曲が続き ダンスナンバーの 10. Try a Little Harder,  そしてホーンセクションも加わった最終曲 11. Maria Caracoles で最高に盛り上がり、Festival も終わりを迎えます。

このアルバムも SANTANA ファンとしては 聴いておく価値はありますが、この頃になると パンクロックと言われる音楽が流行し始め、さらに80年代のヒップホップと呼ばれるダンスミュージックの兆しが見え始め、ラテン・リズムを特徴とした SANTANA の音楽も初期程のインパクトがなくなり、彼らの音楽性も変わっていかざるを得なくなっていました。

AMIGOS ( SANTANA )


AMIGOS ( SANTANA ) / 1976年3月発売

 WELCOME ( 1973年 ), BORBOLETTA ( 1974年 ) と Jazz, Fusion 路線に傾いていた SANTANA でしたが、この AMIGOS では かつてのラテン・パーカッションが完全復活し、さらに サルサやソウル、ファンクの要素を豊富に取り入れた作品となっています。

このアルバムでの私の一番のお気に入りは サルサに挑戦したとも言える 4. Gitano です。 カルロス・サンタナのスパニッシュ・ギターで始まり 全部スペイン語の歌詞なのですが、 不思議と1回聴いただけで 耳から離れなくなるほど 印象の強い しかも ノリの良い曲です。 1. Dance sister dance,  2. Take me with you  の2曲ではパーカッションも絶好調で ギターとの絡み合いもすばらしく、初期の SANTANA が戻って来た感じです。

6. Europa -哀愁のヨーロッパ という曲は SANTANA の名曲の1つとしてあげられていますが、どうも私にはこの曲だけは 日本の演歌・歌謡曲の域に一部入っている様で、 後のMoon Flower という曲と同様、あまり好きになれません。

SANTANAⅢ ( SANTANA )


SANTANAⅢ( SANTANA ) / 1979年9月発売


このアルバムから当時まだ17 才だったニール・ショーンが加入し、バンドはツイン・リードギターの編成となっています。

1st と2nd アルバムをあわせてパワーアップした様な躍動感あふれるラテン・サウンド(カルロス・サンタナはアフリカン・サウンドだと言っているらしい)は そのままで、 ツイン・リードギターでぐっと音の厚みと迫力が増しています。宗教がかった CARAVANSERAI に行く前の 西海岸のヒスパニック系ダウンタウンの汚いイメージにどっぷりつかっていた頃のグループの姿が垣間見れます。このアルバムを前期の最高傑作と評価する人もいます。

1曲目の Batuka から ニール・ショーンの素晴らしいギターを聴くことができ、Taboo そして 名曲とされる Toussaint L' Overture ―祭典 では カルロス・サンタナとニール・ショーンの素晴らしいギター・バトルが展開されます。 Guajira では 彼らお得意のラテン・ビートに加えて カルロス・サンタナの泣きのギターも 絶好調です。

CARAVANSERAI と ABRAXAS に隠れて見過ごされがちなアルバムですが、ギターファンには 必ず聴いてもらいたいアルバムです。

SANTANA ( 1st album )




SANTANA( 1st album ) / 1969年8月発売
 
SANTANA は強烈なラテンパーカッションに、カルロス・サンタナの官能的と表現されるギターが絡むそれまでにはない演奏で ラテン・ロックと言われるジャンルを確立したグループです。

SANTANA は第3作のSANTANAⅢまでは この路線を守り続けたのですが、カルロス・サンタナが宗教に傾倒するようになると ジャズの要素を取り入れるようになりました(もともとジョン・コルトレーンが好きだったらしい)。これはCARAVANSERAI, WELCOME といったアルバムで成功していると思われます。しかし アルバムSANTANAⅢ以来の重要なメンバーであった ギターのニール・ショーンを 路線の違いから失うことにもなってしまいました。

1980年代になって発売されたZEBOP! あたりから 時代を意識したアメリカン・ポップ調の曲の多いアルバムが増え、以後 SUPERNATUNAL まで あまり売れたアルバムは ありませんでした。SANTANA といえば Woodstock Festival での熱演の印象が強く、私は初期の彼らの音楽に魅力を感じます。

SANTANA( 1st album ) は1969年に発表されたデビュー・アルバムで Woodstock Festival での演奏のイメージがそのまま詰め込まれています。2 作目の ABRAXAS 程のヒットはしませんでしたが、カルロス・サンタナの初期の荒々しいギター演奏から 1969年当時のRock 界の熱気が伝わってきます。
2. Evil Ways,  5. Jingo,  9. Soul Sacrifice  などでは カルロス・サンタナの素晴らしいギターを聴くことができます。 



















2011年9月5日月曜日

LOTUS ( SANTANA )



LOTUS ( SANTANA ) / 1974年発売
 1973年の大阪厚生年金会館における来日公演の模様をほぼ完璧に再現したアルバムで、発売当初はアナログ盤3枚組、ジャケット・デザインを横尾忠則が行い22面ジャケットとして1974年に発表され そのデザインのすばらしさも評判になりました。



22面ジャケット
 
CARAVANSERAI,  その後に WELCOME をリリースした直後の 初のライブアルバムですが、日本でのライブで しかも 日本人スタッフによって録音されただけあって 音がすばらしくよいアルバムです。カルロス・サンタナは 80 年代後半から Paul Reed Smith をメイン・ギターとして使用していますが、このライブの頃は まだGibson を使用しており、ギターのやや硬めで張りのある特徴ある音が これを聴く人があたかも会場に居るかと錯覚するくらいすばらしく録音されています。とても40年近くも前の演奏とは思えません。私は 90年以降のサンタナのギターの音よりも この頃の音の方が好きです。

内容は 当時サンタナが はまっていた宗教の影響を強く受けた壮大な宇宙をイメージさせられるサウンドが 全編を通じて繰り広げられるもので、瞑想から始まり、3曲目にはもう CARAVANSERAI からの Every Step of the Way が始まり ギターと嵐の様なパーカッションの絡み合いで 最高に盛り上がり、そして おなじみの Black Magic Woman へと続き 後は ヒット曲のオンパレードです。SANTANA の初期のベストアルバムとして これだけもっていれば十分かもしれません。手に入るうちに是非そろえておきたいアルバムの一枚です。