2011年1月27日木曜日

LED ZEPPELINのbootleg(海賊盤)について-2

Topaz (bootleg/Eric Clapton) / 2006


海賊盤CDといわれるものは 大きく分けて次の3つに分けられます。

(1) カウンターフィット(Counterfeit)盤: 正規盤の内容・装丁をそのままコピーして 正規盤に似せて製造した複製品
(2) パイレート(Pirate)盤: 正規に発売されたアルバムの内容をそのまま、あるいは主に曲単位で独自に編集する形で(ベスト盤など)コピーした物
(3) ブートレッグ(Bootleg): アーティストの未発表音源やコンサート会場で隠し録りされたかスタッフがサウンドチェックのために録音した音源を権利者側の未承諾のままにCDとして製作した物で 西新宿で購入できる海外アーティストのCDはこのブートレッグのことです。

日本では法的には(1)(2)は著作権法違反ということで取り締まられますが、(3)のブートレッグに関しては大手販売店が取り締まられた例はほとんどありません。しかし、諸外国では海賊盤に対して厳しい国も多く、知的財産権保護に積極的なアメリカでは海賊盤を店頭に置くだけでも処罰の対象となります。なお 現在の所、購入・所持することまで違法とする国はありません。このため 海外のミュージシャンでブートレッグを手に入れるために来日のたびに西新宿を訪れるマニアがおり、中でも LED ZEPPELINの ジミー・ペイジ、King Crimsonの ロバート・フィリップは有名です。また 元MLBのランディー・ジョンソンもブートレッグコレクターです。

ブートレッグの録音には オーディエンス録音とサウンドボード録音があります。オーディエンス録音とはコンサート会場で客席からカセットテープレコーダーや最近では DATなどを使ってコンサートをこっそり録音したもので、録音場所により音質は様々です。サウンドボード録音とは ミキサーなどを通した配線からの録音でライブにおけるスタッフのサウンドチェック用の音源が密かに流出したものです。つまり そのアーティストの関係者内部の人間が意図的に流出させた音源ということになります。サウンドボード録音はプロが録音したものでステレオ音源のことが多く、音割れや歪みが少なくて音がよいとされていますが、オーディエンス録音でも録音機器の進歩により、臨場感にすぐれたすばらしい録音の物もあります。

上の写真は 2006年のEric Clapton の日本武道館公演のbootleg CD。

下の写真は1971年のLED ZEPPELIN 初来日の際の日本武道館公演のbootleg CD

A HARD ROCK NIGHT (bootleg/LED ZEPPELIN) / 1971年

2011年1月12日水曜日

LED ZEPPELINのbootleg(海賊盤)について-1


 
Jimmy Page -01Jimmy Page -02


写真は2003年に西新宿著作権無法地帯(都民銀行の近く)のbootleg shopを訪れた ジミーペイジ先生です。来日されると必ず西新宿に立ち寄られます。LED ZEPPELINのbootleg を集めるのが趣味とのことですが、訪れた店のZEP関連の物は 全部ただで ごっそり もらって帰られるそうです。このため 来日の情報が入ると店じまいする所もあるとか。その代わり 店にはこのような写真をお礼に残して帰られます。自分のbootlegを持って記念撮影に応じてくれるアーティストなんて他にはいないでしょう。

お店の方には無断で写真を使わせてもらってすみません。私は東京に行くたびに西新宿に寄ってbootを買っていますのでお許しください。いつかジミー先生に遭遇できるといいのですが。
元MLBのランディージョンソンも常連です。

HOW THE WEST WAS WON | LED ZEPPELIN [DVD]



HOW THE WEST WAS WON ( LED ZEPPELIN ) / 2003年5月27日発売
 
LED ZEPPELIN のライブアルバムとしては 1976年に発売された1973年の北米ツアーのMSGにおけるライブを収録したThe Song Remains The Sameというアルバムがありますが、これは本来、同名の映画のサウンドトラックアルバムとして製作されたものでした。ところが この映画は その製作過程において 撮影自体がうまく行っておらず、使えるフィルムがわずかしかないことが判明したため、後にロンドンのスタジオでMSGのステージを再現して演奏を一部 撮り直しせざるを得なくなり、その結果、編集だらけのアルバムになって、真のライブアルバムとは言えない物になってしまいました。ジミーペイジでさえもこのアルバムを快く思ってないという話があります。しかし、その後は長いことbootlegでも手に入れない限り、このアルバムがZEPのライブパフォーマンスを伝える唯一の公式アルバムでした。

1997年にBBC SessionsというBBCでのライブが発売されました。しかし これはデビュー間もない1969年頃のZEPの音を高音質で聴けるということに意味がありますが あくまでもスタジオ・セッションということで 彼らのライブとしては かなりおとなしい部類に入ると思われます。
そういう理由で 2003年に発売された「 How The West Was Won/伝説のライブ」は 真の意味でのZEPの初のライブと言えるアルバムです。タイトルのHow The West Was Wonは「西部開拓史」の引用です。このアルバムは1972年6月25日のInglewood California Great Western Forumと2日後のLong Beach California Long Beach Arena のコンサートの中で 出来のよい曲を集めて1日のコンサートの様にしたアルバムです。このアルバムはbootlegとして出回っている同日のアルバムと比べても編集の跡がほとんどないとされており、初のライブアルバムといえるものです。

内容はどれもおなじみの曲ばかりですが、今まで音の悪い bootlegでしか聴けなかったライブ演奏がかなりの高音質で聴くことが出来ます。ジミーペイジは雑誌のインタビューで「バンドが最高の状態にあった時のライブだ」と絶賛しています。彼の言う通り、ギターサウンドはこのアルバムをもってジミーペイジ全盛期のギブソンレスポールとマーシャルアンプからなる ZEPサウンドとみなしてよいのではないでしょうか。また、ロバートプラントの声の状態が悪化する直前のツアーであるともされ、かなり貴重なライブでもあります。

曲では23分にもおよぶ Whole Lotta Loveは圧巻で中間部のロックンロールメドレーでは最高のバンドのノリを聴く事が出来ます。しかしジミーペイジのリフもロバートプラントのボーカルも格好いいのですが、やはり すごいのはボンゾのドラムで 彼の様なパワーのあるドラマーは今のロック界にはいません。

このようなライブアルバムがどうして解散から23年も発売されなかったのかが不思議です。ジミーペイジは他のメンバー(プラント)の同意が得られなかったと言っていますが、詳細は不明です。
LED ZEPPELIN を初めて聴く人はこのアルバムから聴くのもよいでしょう。彼らの音楽は解散から30年以上経った今でも最高であり、そして我々が1970年台前半に夢中になった音楽がこれだということを是非知ってもらいたいと思います。

このアルバムは全曲で約150分と彼らのコンサートとしては短めの演奏時間にまとめられていますが(当時のZEPのコンサートは前座なしの3時間ぐらいはあたりまえで 大阪講演では4時間近く演奏した)、内容的にはまさに「伝説のライブ」と言ってもよいものでしょう。



LED ZEPPELIN [DVD] / 2003年6月11日発売(英)
 
世界最強のロックバンドLED ZEPPELIN はカメラ嫌いで有名で良質な映像はあまり残っていません。これまで公式に発表された映像は映画「The Song Remains The Sameー狂熱のライブ」のみで これは撮影時のトラブルのため 後から編集を加えて つぎはぎだらけとなってしまい純粋なライブ映像と呼べるものではありませんでした。

このDVDでは初期のRoyal Albert Hall, Earl's Court(1975), Knebworth Festival(1979)の映像が中心となっており、未発表の音源や映像を一部はbootlegからも集めて編集したものです。よく言われることですが、これはロック音楽史上、奇跡の瞬間を映像として記録したビデオです。中でもEarl's CourtでのStairway to heaven-天国への階段 の中間のアドリブギターソロはジミーペイジの調子もよかったらしくZEPのライブ史上では 最高の出来ではないかと思われます。また、このDVDのおかげで初めて見ることのできたKnebworthでのAchilles Last Standは ギター1本でここまで演奏できるのかと改めてジミーペイジの能力に驚かされました。

約230分通して見てみて、LED ZEPPELINというバンドが現在に至るまで世界最強のロックバンドであり続けたということを再認識させられました。
いろいろ説明するより ZEPを知らない人、まだ見たことのない人は とにかくこのDVDを一度見ていただきたいと思います。映像作品で この質で しかも30-40年も昔の演奏であるなんてことは 奇跡と言ってもよいのではないでしょうか。