2011年12月7日水曜日

BLUES FOR SALVADOR ( CARLOS SANTANA )


BLUES FOR SALVADOR (CARLOS SANTANA) / 1987年10月発売



 Carlos Santana のソロ作品として 1987年に発表されていますが、あまり知られていないと思います。しかし タイトル曲の Blues For Salvador は その年のグラミー賞の Best Rock Instrumental Performance 部門を受賞しています。

バックのミュージシャンが当時の SANTANA バンドのメンバーとほとんど同じなので ソロとバンドの名義の区別はないと考えてよいと思います。しかしCarlos Santana の Jazz への傾倒は強く、アルバムを売るためにPop 路線を歩まざるを得なかったバンドとしてのSANTANA とは別に 自分のやりたかったことを優先させたアルバムの1枚です。 このアルバムでは Jazz ミュージシャンの Tony Williams (ドラム)と共演しているのが興味深い所です。また 全体的に この頃のトレンドである Fusion や Funk の影響が強く見られるのも特徴です。

1曲目から かつてのスリリングな Carlos Santana のギターが炸裂し、強烈なラテン・パーカッションと絡み合うおなじみの SANTANA サウンドを聴くことができますが、以前のラテンの泥臭さが消え、代わりに Fusion の味付けがされています。2曲目の BELLA という曲は いつもの Santana とはやや違う 限りなく美しいギタートーンで穏やかに弾きこなされた大変すばらしい曲です。3曲目以降は Jazz やブルース、ラテン調のアレンジに加えて ハードロック調のアレンジも加わり、Carlos Santana の絶妙の早弾きのギターが全体を引っ張ってゆく曲ばかりです。

そして このアルバムのクライマックスは最後にやって来ます。最後の曲 Blues For Salvador はその名のとうり、ブルースギターソロをたっぷり聴くことのできる曲です。Carlos のワウを駆使した鬼気迫るギタープレイはすばらしく、まさに渾身の作品と言えるものです。SANTANA ファンには是非聴いて欲しい曲です。

2011年12月5日月曜日

ZEBOP ! ( SANTANA )



ZEBOP! (SANTANA) / 1981年4月発売



SANTANA を見出した伝説のプロモーター Bill Graham
  
毎週水曜日の午後11:00 から「SONG TO SOUL~永遠の一曲」という BS-TBS の 番組があります。歴史に残る名曲をとり上げて その曲の生い立ちを紹介する番組です。2011年11月27日はSANTANAのアルバム「AMIGOS」に収められた「EUROPAー哀愁のヨーロッパ」が放送されました。

内容を紹介すると; Carlos Santana の率いるバンド SANTANA を見出したのは伝説のプロモーターと言われる Bill Graham で 1960年代後半、Bill はサンフランシスコにライブハウス FILLMORE AUDITORIUM を作り、数多くのミュージシャンを世に送り出しました。イギリスから CREAM をアメリカに呼び寄せ、Eric Clapton の存在を世に知らしめたのも彼でした。

まだ ローカル・バンドだった SANTANA を Woodstock Festival (1969年) に出演させ、一躍人気バンドに押し上げたのも Bill でした。こういうわけで Carlos Santana にとって Bill Graham は大恩人だったのです。
番組では Santana と Bill が出会ったサンフランシスコを取材し、哀愁のヨーロッパの共作者であるキーボード奏者のトム・コスター(Tom Coster) や当時のバンドメンバーでパーカッショニストのアルマンド・ペラーザ(Armando Peraza) を訪ね、名曲が生まれた経緯を探って行きます。

アルバム「AMIGOS」以前の Carlos は Jazz や宗教に傾倒し、よりスピリチュアルで崇高な音楽を目指していました。「AMIGOS」の製作に加わった Bill はこの作品ではデビュー当時のラテン色が強く、パッショネートなサウンドに回帰する様、Carlos 達を説得し、その結果、「AMIGOS」は初期の SANTANA らしさに溢れたポップなアルバムとなったとされています。このアルバムの中の一曲が「哀愁のヨーロッパ」だったのです。


番組の中では他にも SANTANA の多くのヒット曲が紹介されましたが、一番印象に残ったのは 1991年にヘリコプター事故で亡くなった恩人の Bill Graham の追悼コンサートで Carlos Santana が演奏した I LOVE YOU MUCH TOO MUCH ( 哀愁の旅路 ) という曲でした。この曲は 1981年発売のアルバム「ZEBOP ! 」に収録されている曲で哀愁のヨーロッパと同様、ラテン歌謡路線ではあるものの、前半部の Carlos のしっとりとしたギターは最高の一言で さらにバラードからラテン・リズムへの移行部は これぞ SANTANA の本領発揮といった感じです(この曲でSantana が使用しているギターはYAMAHA - SG です)。

「ZEBOP ! 」はあまり知られていないアルバムですが、6.WINNING, 8.THE SENSITIVE KIND などの従来のラテン・ロック的な曲あり、4.SEARCHIN, 5.OVER AND OVER などのアメリカン・ロック的な曲あり、7.TALES OF KILIMANJARO, 10.I LOVE YOU MUCH TOO MUCH といった泣きのギターの聴ける曲ありで なかなか楽しめるアルバムとなっています。




2011年11月9日水曜日

ROCK IN KARUIZAWA JUNE 1986 ( Bootleg )


ROCK IN KARUIZAWA JUNE 1986 ( JEFF BECK, SANTANA, STEVE LUKATHER )










Disc 1
  1. Star cycle
  2. Love will
  3. Ambitious
  4. Goodbye pork pie hat
  5. Stop, look and listen
  6. Cause we've ended as lovers
  7. Escape
  8. Blue wind
  9. Wild thing
  10. Freeway jam
  11. Going down
  12. Intro - primere invasion
  13. Victory
Disc 2
  1. Incident at neshabur - mandele
  2. Black magic woman - gypsy queen
  3. Oye como va - evil ways - jingo
  4. Europe
  5. Right now
  6. Open invitation
  7. Songs of freedam
  8. Super jam
  9. People get ready
  10. Johnny b. goode



1986年に日本でのみ たった1 日だけ実現した夢のような 3 人( Carlos Santana , Jeff Beck, Steve Lukather ) のギタリストの競演の記録で 当時 TV と FM で放送されたものです。Soundboard 録音で音質も最高です。私はFM 放送されたものを自分でカセットテープに録音して聴いていましたが いつの間にか紛失していました。ところが最近になって都農町のClassic Rock の伝道師とも言える方からこのCD をいただきました。

競演は Carlos Santana のグループと Jeff Beck のグループの演奏に Steve Lukather が1 曲ずつ参加し、Disc 2 の終わりの 3 曲に全員参加し、Santana, Beck, Lukather がそろい踏みで クライマックスに突入します。ギターソロのつなぎ目にリハーサル不足と思われる歩調の乱れがあるものの、3 ギター、2 ボーカル、2 ベースに Jeff Beck のアルバムで有名なキーボードの Jan Hammer が加わって 最高の盛り上がりを見せてくれます。スーパーギタリスト3 人による最初で最後の夢の競演でした。

ここで改めて見直したのが Steve Lukather の実力です。彼は TOTO のリードギターとして有名ですが もともとスタジオ・ミュージシャンとして活動していた実績があり、 Jazz, Fusion から Rock に至るあらゆる分野の音楽を弾きこなせるマルチ・プレーヤーとしての彼の実力をこのコンサートで再認識することができました。
Michael Jackson のアルバム「 THRILLER 」の中のヒット曲 「 BEAT IT 」の出だしの有名なリフを弾いているのが Lukather です。

このコンサートでは Jeff Beck や Santana に負けず すばらしいギターを聴かせてくれます。

2011年10月21日金曜日

WHITESNAKE宮崎コンサート






FOREVERMORE(WHITESNAKE) / 2011年3月発売

 




2011年10月20日 宮崎市のメディキット県民文化センターでの WHITESNAKE FOREVERMORE JAPAN TOUR 2011 に行ってきました。
このコンサートは new album の FOREVERMORE の promotion tour で このalbumからの曲が 多く演奏されました。また この会場は ステージの真下が1列目ということで 観客と一体になって 盛り上がる事が出来たコンサートでした。私は4列目の席で David Coverdale が4 m程先にいるという状況だったので 大変感激し、興奮しました。さらに PAシステムは 1,000人収容の会場には十分すぎるほどで 今まで行ったコンサートの中で一番大きな音でした。翌日まで耳鳴りがとれず、興奮したためか 両手がしびれていました。

Coverdale も歳をとったとはいえ、vocal の迫力はさすがでした。このグループはtwin リードギターで2人とも うまいのですが、このコンサートでは少々メタルっぽい音で我々 Classic Rock ファンにとっては 物足りない感じがしました。それと どうも 最近の傾向かもしれませんが、ドラムの音が大きすぎて ビヨーンという音がどうも好きになれません。このドラムの音に ギターが明らかに負けていました。David Coverdale は DEEP PURPLE の3代目 vocalist ですが、WHITESNAKE がDEEP PURPLE と肩を並べるグループになかなかなれないのは Burn やSmoke On The Water の様な ギター小僧がすぐ真似したくなる 名ギター・リフの曲が少ないからと思います。言い換えれば、Richie Blackmore の様な riff maker  がWHITESNAKE には いなかったという事でしょうか。

しかし、久しぶりに楽しめたコンサートでした。こんなに近くでアーティストが見られたコンサートはありません。(以前の THE ROLLING STONES のコンサートでは ステージが遠すぎてモニターでしか ステージを見れませんでした。) そして、よく宮崎まで来てくれました。WHITESNAKE ありがとう。キョードー西日本さん また大物を呼んでください。


2011年10月12日水曜日

SUPERNATURAL ( SANTANA )


SUPERNATURAL ( SANTANA ) / 1999年6月発売


SANTANA は70年後半から ジャズ、ファンク、ソウルなどの影響を受けたアルバムが多くなったのですが、1982年のSHANGO 以来 1992年のMILAGRO までこれといったヒットアルバムがありませんでした。

そして 7年間のブランクの後、新レーベルへ移籍し 1999年突如として世界的に大ヒットして復活を果たしたのが この SUPERNATURAL でした。ローリン・ヒルやエリック・クラプトンなどの豪華ゲストをはじめとする多くのゲスト・プレイヤーが参加して作り上げた とにかくヒットを狙ったアルバムです。その結果、現在までに 売り上げ2500 万枚を誇る大ヒット作となり マイケル・ジャクソンのグラミー賞8 部門受賞を抜く 1999年度グラミー賞 9部門受賞と言う偉業を成し遂げました。

内容はと言うと さすがにヒットをねらったアルバムだけあって すべての曲が良くできており 捨て曲が1 曲もありません。1 曲めの Yaeo から SANTANA のラテンリズムが全開し、Dave Matthews の vocal が渋い 2 曲目の Love of My Life, 3 曲目の Everlast をゲストに迎えた Put Your Light On , そして全世界で大ヒットした 5 曲目の Smooth と続き 一気に聴いてしまいます。 7 曲目の Maria Maria は 70年代を思い出させる情熱的なラテン・ナンバーです。これに続く 9 曲めの Corazon Espinado もラテン・ムードたっぷりのご機嫌なリズムの曲です。この後 Wishing It Was というイントロが A. 猪木のテーマに似ている曲から El Farol, Primavera と続き、ラストは イントロから クラプトンのギターとすぐ分かる The Calling で クラプトンとサンタナのギターが絡み合い、夢のアルバムをエンディングに導きます。

全体としてこれは確かにすばらしいアルバムです。もし これが SANTANA のアルバムでなく 他の新人グループのアルバムだったら 間違いなく 20 世紀の最後を飾るにふさわしい歴史に残る傑作アルバムだったと思います。私が SANTANA というバンドに期待するのは いつまでも 初期のアルバムにみられた西海岸のヒスパニック系ダウンタウンの暗く 汚いイメージで ドラッグ・酒・女の匂いを漂わせたバンドのイメージです。しかし、このアルバムに至っては全くそれらが感じられなくなってしまいました。さらに 曲自体はすべてすばらしいのですが、初期の曲に感じられた様な そして Woodstock Festival で見せてくれたあのラテンの熱気が あまり感じられないのです。そして Moon Flower の流れを引き継いだラテン・ポピュラー・ミュージック(あるいは 悪く言えばラテン・歌謡曲)系の曲ばかりになってしまったような気がします。

その原因として豪華なゲスト陣との共演のため ゲストに合わせた曲つくりがされていること、カルロス・サンタナが歳をとって初期のような情熱的なギター・プレイをしなくなった(できなくなった)、そして カルロス・サンタナのメインギターが 70年代、80年代前半の硬めの音の Gibson, YAMAHA から 80年代後半に やわらかめの音のPaul Reed Smith に代わったことなどが 考えられます。

SUPERNATURAL の後、同様なコンセプトで 2002年にSHAMANというアルバムがリリースされました。これも よくできたアルバムで評判は良かったのですが、 私は同じ理由で初期のアルバムほどよく聴いておりません。

2011年9月19日月曜日

FESTIVAL ( SANTANA )


FESTIVAL ( SANTANA ) / 1976年12月発売

前作 AMIGOS の続き(悪く言えば二番煎じ)とも言えるアルバムですが、さらにパワーアップしたナンバーが聴けるのが良い所です。それは AMIGOS で一時バンドを抜けたパーカッショニストのホセ・チェピート・エレアスが 復帰したことにあるとされています。彼の復帰で初期からの強烈なパーカッション・プレイが戻りました。

1. Carnaval,  2. Let the Children play,  3.Jugando  までは 強烈なラテン・ビートに乗って一気に聴いてほっとしてしまいます。 しかし 4. Give Me Love は いかにもAOR 的な曲で SANTANA に ふさわしいとは思えません。 5. Verao Vermlho は AMIGOS の Gitano と同じサルサ調で 好感のもてる曲です。
しかし 7. Revelations は Europa―哀愁のヨーロッパ の続編の様な歌謡曲路線で あまり好きにはなれません。その後は、フュージョン色の強いファンキーな曲が続き ダンスナンバーの 10. Try a Little Harder,  そしてホーンセクションも加わった最終曲 11. Maria Caracoles で最高に盛り上がり、Festival も終わりを迎えます。

このアルバムも SANTANA ファンとしては 聴いておく価値はありますが、この頃になると パンクロックと言われる音楽が流行し始め、さらに80年代のヒップホップと呼ばれるダンスミュージックの兆しが見え始め、ラテン・リズムを特徴とした SANTANA の音楽も初期程のインパクトがなくなり、彼らの音楽性も変わっていかざるを得なくなっていました。

AMIGOS ( SANTANA )


AMIGOS ( SANTANA ) / 1976年3月発売

 WELCOME ( 1973年 ), BORBOLETTA ( 1974年 ) と Jazz, Fusion 路線に傾いていた SANTANA でしたが、この AMIGOS では かつてのラテン・パーカッションが完全復活し、さらに サルサやソウル、ファンクの要素を豊富に取り入れた作品となっています。

このアルバムでの私の一番のお気に入りは サルサに挑戦したとも言える 4. Gitano です。 カルロス・サンタナのスパニッシュ・ギターで始まり 全部スペイン語の歌詞なのですが、 不思議と1回聴いただけで 耳から離れなくなるほど 印象の強い しかも ノリの良い曲です。 1. Dance sister dance,  2. Take me with you  の2曲ではパーカッションも絶好調で ギターとの絡み合いもすばらしく、初期の SANTANA が戻って来た感じです。

6. Europa -哀愁のヨーロッパ という曲は SANTANA の名曲の1つとしてあげられていますが、どうも私にはこの曲だけは 日本の演歌・歌謡曲の域に一部入っている様で、 後のMoon Flower という曲と同様、あまり好きになれません。

SANTANAⅢ ( SANTANA )


SANTANAⅢ( SANTANA ) / 1979年9月発売


このアルバムから当時まだ17 才だったニール・ショーンが加入し、バンドはツイン・リードギターの編成となっています。

1st と2nd アルバムをあわせてパワーアップした様な躍動感あふれるラテン・サウンド(カルロス・サンタナはアフリカン・サウンドだと言っているらしい)は そのままで、 ツイン・リードギターでぐっと音の厚みと迫力が増しています。宗教がかった CARAVANSERAI に行く前の 西海岸のヒスパニック系ダウンタウンの汚いイメージにどっぷりつかっていた頃のグループの姿が垣間見れます。このアルバムを前期の最高傑作と評価する人もいます。

1曲目の Batuka から ニール・ショーンの素晴らしいギターを聴くことができ、Taboo そして 名曲とされる Toussaint L' Overture ―祭典 では カルロス・サンタナとニール・ショーンの素晴らしいギター・バトルが展開されます。 Guajira では 彼らお得意のラテン・ビートに加えて カルロス・サンタナの泣きのギターも 絶好調です。

CARAVANSERAI と ABRAXAS に隠れて見過ごされがちなアルバムですが、ギターファンには 必ず聴いてもらいたいアルバムです。

SANTANA ( 1st album )




SANTANA( 1st album ) / 1969年8月発売
 
SANTANA は強烈なラテンパーカッションに、カルロス・サンタナの官能的と表現されるギターが絡むそれまでにはない演奏で ラテン・ロックと言われるジャンルを確立したグループです。

SANTANA は第3作のSANTANAⅢまでは この路線を守り続けたのですが、カルロス・サンタナが宗教に傾倒するようになると ジャズの要素を取り入れるようになりました(もともとジョン・コルトレーンが好きだったらしい)。これはCARAVANSERAI, WELCOME といったアルバムで成功していると思われます。しかし アルバムSANTANAⅢ以来の重要なメンバーであった ギターのニール・ショーンを 路線の違いから失うことにもなってしまいました。

1980年代になって発売されたZEBOP! あたりから 時代を意識したアメリカン・ポップ調の曲の多いアルバムが増え、以後 SUPERNATUNAL まで あまり売れたアルバムは ありませんでした。SANTANA といえば Woodstock Festival での熱演の印象が強く、私は初期の彼らの音楽に魅力を感じます。

SANTANA( 1st album ) は1969年に発表されたデビュー・アルバムで Woodstock Festival での演奏のイメージがそのまま詰め込まれています。2 作目の ABRAXAS 程のヒットはしませんでしたが、カルロス・サンタナの初期の荒々しいギター演奏から 1969年当時のRock 界の熱気が伝わってきます。
2. Evil Ways,  5. Jingo,  9. Soul Sacrifice  などでは カルロス・サンタナの素晴らしいギターを聴くことができます。 



















2011年9月5日月曜日

LOTUS ( SANTANA )



LOTUS ( SANTANA ) / 1974年発売
 1973年の大阪厚生年金会館における来日公演の模様をほぼ完璧に再現したアルバムで、発売当初はアナログ盤3枚組、ジャケット・デザインを横尾忠則が行い22面ジャケットとして1974年に発表され そのデザインのすばらしさも評判になりました。



22面ジャケット
 
CARAVANSERAI,  その後に WELCOME をリリースした直後の 初のライブアルバムですが、日本でのライブで しかも 日本人スタッフによって録音されただけあって 音がすばらしくよいアルバムです。カルロス・サンタナは 80 年代後半から Paul Reed Smith をメイン・ギターとして使用していますが、このライブの頃は まだGibson を使用しており、ギターのやや硬めで張りのある特徴ある音が これを聴く人があたかも会場に居るかと錯覚するくらいすばらしく録音されています。とても40年近くも前の演奏とは思えません。私は 90年以降のサンタナのギターの音よりも この頃の音の方が好きです。

内容は 当時サンタナが はまっていた宗教の影響を強く受けた壮大な宇宙をイメージさせられるサウンドが 全編を通じて繰り広げられるもので、瞑想から始まり、3曲目にはもう CARAVANSERAI からの Every Step of the Way が始まり ギターと嵐の様なパーカッションの絡み合いで 最高に盛り上がり、そして おなじみの Black Magic Woman へと続き 後は ヒット曲のオンパレードです。SANTANA の初期のベストアルバムとして これだけもっていれば十分かもしれません。手に入るうちに是非そろえておきたいアルバムの一枚です。

2011年8月16日火曜日

CARAVANSERAI ( SANTANA )


CARAVANSERAI ( SANTANA ) / 1972年10月発売
 1972年に発売された SANTANA の4 作目「 CARAVANSERAI - キャラバンサライ」です。ジャケットは砂漠を行く隊商と大きな丸い月で、「キャラバンサライ」という名前も ペルシャ語で「隊商宿」の意味だそうで 本作品も 一貫して 砂漠の一夜を感じさせる音楽となっています。

私がこのアルバムを初めて聴いたのは 発売直後のNHK の FM 放送で 夜 7時15分から8時まで 45 分間、1 枚のアルバムを全部紹介する番組でした(その頃はLP1枚がほぼ45分でした。今 この様な番組がなくなったのは残念です)。

虫の声からはじまる 1 曲めの「Eternal Caravan of Reincarnation」を聴いた時からこのアルバムがすばらしいことが予感されます。事実、このアルバムは SANTANA の傑作として呼び声高く、名盤と評価されています。1999年に発売され、グラミー賞 9 部門を独占した「SUPERNATURAL - スーパーナチュラル」も すばらしいアルバムでしたが、それを上回るSANTANA の最高傑作と思います。ラテンロックという分野を前 3 作で確立した SANTANA がさらに ジャズの要素を持ち込んで作品のクールさを作り上げることに成功したといえるアルバムです。

世の中に名盤と言われる作品は たくさんありますが、最初から最後まで 一気に聴いてしまうようなアルバムはそうありません。「CARAVANSERAI」は数少ない貴重な1枚です。

5 曲目の「Song of the Wind」はこのアルバムの名曲の1つで カルロス・サンタナのサスティーンの効いたギターに迫力あるパーカッションが絡み合って 盛り上がって行き、7曲目の「Future Primitive」では パーカッションの嵐です。10曲目の「Every Step of the Way」では相変わらず はげしいパーカッションのリズムに加えて 砂漠の広大さ、熱さをイメージさせるカルロス・サンタナの激しいギターが加わって 本作の最後の曲にふさわしいすばらしい曲に仕上がっています。最後まで 一気に聴いてしまうと ほっと一息つきたくなります。

このアルバムを今迄何回聴いたことでしょう。私が最も気に入っているアルバムの1枚です。これから秋にかけて聴くのが最もふさわしいと思います。

2011年7月18日月曜日

ABRAXAS ( SANTANA )


ABRAXAS ( SANTANA ) / 1970年9月発売
 SANTANA は 1966年、サンフランシスコで結成された SANTANA BLUES BAND が前身で その後 SANTANA と改名し、1969年 正式にデビューしています。
デビューと同時期の Woodstock Festival に出演し その時の熱演で有名になりました(写真下)。

1999年に発売され、グラミー賞史上最多の 9部門を受賞したアルバム「SUPERNATURAL」以降の SANTANA しか知らない世代には 想像がつかないかも知れませんが、デビュー当時の SANTANA は西海岸のヒスパニック系ダウンタウンの暗い汚いイメージで ドラッグ・酒・女の臭いを漂わせたバンドでした。ギターの カルロス・サンタナはメキシコ系のラテンリズムを ブルース・ロックと融合させて ラテン・ロックというジャンルを確立した第一人者と言われています。この ABRAXAS(天の守護神)は バンドにとって初の全米1位を獲得したアルバムで SANTANA の作品の中でも最高位に位置するアルバムとされています。

1曲目の Singing Winds, Crying Beasts(風は歌い、野獣は叫ぶ)は、これから とてつもないことがおこるのではと予感させる風の音とピアノが絡む静かなイントロに 徐々にカルロス・サンタナのサスティーンの効いたギターが入って、そしてラテンパーカッションが加わるという それまでのロックにはなかったジャズ風の曲です。この曲が終わると間をおかずに始まるのが 呪術的なオルガンのイントロが印象的な SANTANA の最も有名な曲である「Black Magic Woman / Gypsy Queen」です。

この「Black Magic Woman」という曲は SANTANA の オリジナルと思っている人が以外に多いのですが、実はイギリスのブルース・バンド Fleetwood Mac の名ギタリスト ピーター・グリーンの作曲です(下の写真が有名なジャケット)。この曲の カルロス・サンタナによるラテン・ロック流のギター・アレンジは見事です。この曲の他にも Oye Como Va(僕のリズムを聞いとくれ)、Samba Pa Ti(君に捧げるサンバ)などで聴かれるカルロス・サンタナのマイナーな鳴きのギターは日本人に受けるはずです。


English Rose (Fleetwood Mac) / 1969年1月発売
 カルロス・サンタナのギターは 初期の頃から SG やレスポールといったギブソン系を使用し(今はPaul Reed Smith を使っているが)、独特の甘い音色のサスティーン・ギターが特徴で、これにラテンパーカッションがギターに負けないくらい強烈で ギターと互角に張り合った演奏をしています。 これは現在まで バンドの基本姿勢として変わっておらず、他のバンドにはまねのできないことであり、デビューから40年以上を 紆余曲折を経て生き抜いてこれた理由でしょう。

このABRAXAS というアルバムのジャケットデザインはすばらしく、マイルス・デイビスのアルバム「Bitches Brew」(1969)のジャケットの作者の手によるものです。
また ABRAXAS とは 頭がニワトリまたはライオン、体が人間、足がヘビという姿をしたギリシャの神で、365の天界を支配している神だそうです。


2011年6月23日木曜日

WOODSTOCK FESTIVAL ( 1969年8月15-17日 )


Woodstock Festival
 写真は、Woodstock Festival を収録した CD ジャケットです。

ウッドストック・フェスティバル(Woodstock Music and Art Festival)は1969年8月15日(金)から17日(日)までの3日間、アメリカ合衆国ニューヨーク州サリバン郡ベセルで開かれた、ロックを中心とした大規模な野外コンサートです。
この時の熱演で いくつかのバンドが有名になり、後に1970年前半のClassic Rock を代表する存在となりました。

SANTANA, MOUNTAIN, CCR, THE WHO, CSN&Y, TEN YEARS AFTER, JIMI HENDRIX などです。これから これらのバンドを紹介していきたいと思います。

下の写真は、Woodstock Festival での Jimi Hendrix です。


2011年6月22日水曜日

AROUND THE NEXT DREAM ( BBM )



AROUND THE NEXT DREAM ( BBM ) / 1994年5月発売



AROUND THE NEXT DREAM ( BBM )




元CREAM の ジャック・ブルース、ジンジャー・ベーカーが ゲイリー・ムーアと結成したグループです。

ゲイリー・ムーアは 1952年生まれのギタリストで 1980年代までは ハード・ロックのギタリストでしたが、1990年に Still Got The Blues というアルバムをリリースしてからブルース中心のギタリストとして活躍してきました。彼のアルバムについては別の機会に触れますが、ギタリストとしての評価は高く、レスポールの使い手としても有名で、またバラードにおいてギターを泣かせるテクニックの持ち主として最高峰の1人に挙げられています。さらに時代や流行に左右されない頑固一徹ぶりもあり、評論家からは人間国宝と形容されたこともありました。しかし、残念なことに2011年2月に旅先のスペインで 58歳で急死してしまいました。


CREAM のメンバーとの出会いは 1993年の ジャック・ブルースのバースデイ・コンサートへの参加の時で、これが きっかけで、1994年に BBM が結成されたとされています。このアルバムを聴いてみると、CREAM 解散後、エリック・クラプトンが CREAM の音楽から離れた活動をしたのに対し、他の2人は CREAM の音楽を続けたかったことが推測されます。そこで クラプトンの代わりに選ばれたのが ゲイリー・ムーアだったのでしょう。アルバムの内容は CREAM 的なブルース・ロックですが、彼らの様な大物職人が集まると この様なすごい作品が出来るものだと驚かされます。

このアルバムにおける主人公は ジャック・ブルースではなく、ゲーリー・ムーアです。彼の このアルバムにおけるブルース・ギターのメロディー・ラインや泣きのギターのインパクトは 完全にジャック・ブルースのベースのそれを上回っています。全曲すばらしいと言ってもよいのですが、7. Why Does Love ( Have To Go Wrong )? , 8. Naked Flame は 泣きのギターの聴ける名曲です。ロック通には必ず気に入ってもらえるアルバムと思います。

ジャック・ブルースという人は グループ内で常にリーダー的存在でいないと気にいらない人らしく、クリーム解散後は 誰と組んでもうまくゆかず、 ずっと鳴かず飛ばずの状態が続いていました。このグループも案の定、このアルバム1枚で終ってしまいました。
しかし、このすばらしいアルバムもあまり売れなかった様です。宣伝がうまくなかったのか、時代がこの様な音楽を既に受け入れなくなっていたからではないかと思われます。



2011年5月23日月曜日

KNEBWORTH 1979 [DVD] ( LED ZEPPELIN )


KNEBWORTH 1979 ( bootlegDVD / LED ZEPPELIN )

1979年の Knebworth Festival での LED ZEPPELIN の bootleg DVD です。
休日に久しぶりに見てみました。内容は 1979年8月4日と11日の両日を完全ノーカット収録してあり、トータルで 5時間56分です。やはり LED ZEPPELIN は最高ですね。久しぶりに見ると特にそう感じます。公式盤 DVD (2003年) の Disc 2 の Knebworth Festival の部分と全く同じ画像ですので 両者とも source が同じか, あるいは ジミー・ペイジの発言通り 公式盤はこの bootleg DVD から画像を拝借したのではないかと思われます。ですから画質も公式盤に近い素晴らしさです。

ジミー・ペイジのギターは 初期の様な状態ではないにしろ、この日の出来はまあまあで、特に Achilles Last Stand では素晴らしい演奏を聴かせてくれます。
ボンゾのドラムは相変わらず、いつ聴いても素晴らしく、彼が もし生きていたら 80年以降のロック界も違った歩み方をしていたかも知れないと考えると、彼の死は実に残念です。

Disc One: (Stevenage, UK, Knebworth Festival, August 11, 1979/time:160mins.)
1.The Song Remains The Same 2.Celebration Day 3.Black Dog 4.Nobody's Fault But Mine 5.Over The Hills And Far Away 6.Misty Mountain Hop 7.Since I've Been Loving You 8.No Quarter 9.Hot Dog 10.The Rain Song 11.White Summer 12.Black Mountain Side 13.Kashmir 14.Trampled Underfoot 15.Sick Again 16.Achilles Last Stand 17.Guitar Solo 18.In The Evening 19.Stairway To Heaven 20.Rock And Roll 21.Whole Lotta Love 22. Communication Breakdown

Disc Two: (Live at Knebworth Festival Stevenage England August 4, 1979/time:196mins.)
1.Introduction 2.The Song Remains The Same 3.Celebration Day 4.Black Dog 5.Nobody`s Fault But Mine 6.Over The Hills And Far Away 7.Misty Mountain Hop 8.Since I`ve Been Loving You 9.No Quarter 10.Ten Years Gone 11.Hot Dog 12.The Rain Song 13.White Summer-Black Mountain Side 14.Kashmir 15.Trampled Underfoot 16.Sick Again 17.Achilles Last Stand 18.Guitar Solo 19.In The Evening 20.Stairway To Heaven 21.Rock And Roll 22.Whole Lotta Love 23.Heartbreaker

2011年5月16日月曜日

LIVE' N' KICKIN' ( WEST, BRUCE & LAING )



LIVE' N' KICKIN' ( WEST, BRUCE & LAING ) / 1974年4月発売
 

WEST, BRUCE & LAING のライブアルバム。

CREAM 時代からベースの音がうるさいと ドラムのジンジャー・ベーカーと争いの絶えなかったジャック・ブルースですが、このグループを結成後、文句を言うメンバーがいなくなり、自由奔放な演奏が行なえるようになったせいか、 このライブアルバムでは 彼のベースは単なるリズム楽器というより リードギターの様な迫力の演奏です。

一方で、 2 曲目の The Doctor でのレスリー・ウエストのヴォーカルは すばらしく、さらに彼の歪んだギターとジャック・ブルースのうねるようなベースの絡みは壮絶です。4 曲目の Powerhouse Sod でのジャック・ブルースのベースソロは No.1ベーシストとしてのテクニックを存分に聴かせてくれます。
ロックファンなら一度は聴いておくべき貴重なアルバムです(ジャケット写真でレスリー・ウエストが持っているギターがギブソン・フライングVであることに注目)。



LIVE' N' KICKIN'  ( WEST, BRUCE & LAING )
 

2011年5月10日火曜日

WHY DONTCHA ( WEST, BRUCE & LAING )


WHY DONTCHA ( WEST, BRUCE & LAING ) / 1972年11月発売

CREAM 解散後、鳴かず飛ばずのジャック・ブルースと、フェリックス・パッパラルディ が抜けた MOUNTAIN のレスリー・ウエスト、コーキー・レイングが結成したトリオ。このバンドが結成された経緯は不明ですが、公にはパッパラルディが体調を崩したからとされています。

アルバムの内容は CREAM と MOUNTAIN の流れを引き継いだ典型的な70年代前半のロックで、現在のバンドで これほど粘りのあるハードロックを演奏できるバンドは皆無でしょう。エリック・クラプトン、ジンジャー・ベーカーと言う CREAM 時代の二大アーティストから解放されたジャック・ブルースは当然のことながら このグループの中心的存在となりました。一方でレスリー・ウエストのギターはベースの存在があまりにも大きいために、 MOUNTAIN の時に比べて脇役になってしまった感じがします。ジャック・ブルースのベースは曲によってはギターと区別がつかない位の迫力です。

作曲においても CREAM 時代と同様で共作となっていますが 原型はほとんどがジャック・ブルースのものだったわけで 音楽的に対等と思っていたレスリー・ウエストが次第に幻滅していったのは当然のことと思われます。1973年8月に予定されていた来日前に W, B & L は空中分解してしまい、急遽 フェリックス・パッパラルディが加入して MOUNTAIN の再結成として来日しています。

3.The Doctor, 6.Shake Ma Thing, 7.While You Sleep, 9.Love Is Worth The Blues, 10.Pollution Woman は良くできた曲です。

2011年5月4日水曜日

NANTUCKET SLEIGHRIDE ( MOUNTAIN )


NANTUCKET SLEIGHRIDE ( MOUNTAIN ) / 1971年1月発売

MOUNTAIN として3作目となる Nantucket Sleighride は MOUNTAIN の代表作として アメリカン・ハードロックの教科書的存在との評価を受けています。それはカントリーを含むアメリカン・ミュージックのほとんどの要素がこのアルバムに詰め込まれていて、受け入れられやすい riff もたくさんあって それを ハード・ロック流に演奏するという 当時としては 先見性のあるアルバムだったからと言われています。

確かに  Don't Look Around, Nantucket Sleighride, Travellin' In The Dark はハード・ロックの曲としてすばらしい出来だと思われます。スタジオ録音ですが、相変わらずパッパラルディのうなるベースは時にギター以上に前面に出てくるし、レスリー・ウエストの特徴あるdistortion の効いたギターもすばらしいです。
キーボードも効果的な使われ方をしていて良いのですが、ドラムが ギターとベースの派手さに隠れてしまって弱く感じてしまうのが気になる所です。

Flowers of Evil 発表後、フェリックス・パッパラルディは 日本の CREATION のプロデュースをしたりもしましたが、残念なことに 1983年に妻のゲイル・コリンズに射殺されてしまいました(コリンズは事故と主張していますが)。ゲイル・コリンズはMOUNTAIN の曲の作曲や アルバムのカバーデザインを行っていました。

ゲイル・コリンズのbiography です。

She was wife of the late Felix Pappalardi. She contributed lyrics to many Mountain songs and co-wrote Cream's "World of Pain" with Pappalardi and "Strange Brew" with Pappalardi and Eric Clapton. As Gail Collins, her artwork appears on the album covers, "Mountain Climbing" and "Nantucket Sleighride," along with "Live-The Road Goes Ever On" and "Twin Peaks" and "Avalanche."

On April 17, 1983, Felix Pappalardi was shot once in the neck in their fifth-floor East Side Manhattan apartment. He was pronounced dead at the scene and Gail was charged with second degree murder. At the age of 43, Gail Collins Pappalardi was acquitted of second degree murder and manslaughter, but found guilty of criminally negligent homicide. She was released on parole on April 30, 1985.

Gail Collins, as of 2009, is living quietly in Mexico. She maintains the shooting of her husband was an accident.



写真は、フェリックス・パッパラルディ(左)とアンドレ・ザ・ジャイアントの様な巨漢レスリー・ウエスト(右)

2011年5月2日月曜日

FLOWERS OF EVIL ( MOUNTAIN )



FLOWERS OF EVIL ( MOUNTAIN ) / 1971年11月発売
 
70年代のアメリカン・ロックの夜明けは Grand Funk Railroad (GFR) と共に MOUNTAIN を抜きには語れないでしょう。 MOUNTAIN は 1969年に結成され、72年に一度解散していますが、その後も何度か再結成、解散を繰り返しています。

MOUNTAIN は登場した時「アメリカの CREAM 」 と呼ばれ、ギターの レスリー・ウエストはエリック・クラプトンの再来とまで言われました。その訳はベースのフェリックス・パッパラルディが あの CREAM のプロデューサーであり、曲によっては自ら CREAM のキーボードを担当していたからです。彼は、ミシガン大学でクラシック理論を学んだ後、妻であり MOUNTAIN のアルバム・アートワークを担当したゲイル・コリンズと共に MOUNTAIN のプロジェクトに参加したわけですが、 CREAM の解散後、第2の CREAM の結成を企てていたと言われています。
フェリックス・パッパラルディは、MOUNTAIN の結成にあたり ほとんど無名だったギタリストのレスリー・ウエストを発掘しましたが、 ドラムとキーボードも無名の新人を選んでいます。

レスリー・ウエストのギターは これ以上ないぐらい強く distortion (歪み)を効かせた爆音が特徴で パッパラルディのベースと共に MOUNTAIN サウンドの要をなすものです。当時多くのアーティスト達がギブソン・レスポールやギブソンSG を使っていた中で、レスリー・ウエストは当時としても貴重な1954年型レスポール・ジュニア(写真中央)を使用しており、このギターの独特の音が強烈な MOUNTAIN サウンドを作り出していました。また彼が得意としたハーモ二クス奏法もこのギターが特に この奏法に向いていたからとも言われています。

フェリックス・パッパラルディのベースも CREAM のジャック・ブルースと同じく ロックにおけるベースの役割を単なるリズム楽器からギターと同等のメロディー楽器に変えてしまったと評価されています。彼のうなるような distortion の効いたベース音は ギブソンEB-1 と言うベース(写真右)の音ですが EB-1 にしか出せない音というのがあるらしく、これが彼が EB-1 にこだわり続けた理由です。この EB-1 ベースと レスポール・ジュニアのサウンドを組み合わせたことが パッパラルディの大発見であり、腹の底にまで響き渡るような MOUNTAIN サウンドの秘密とされています。

MOUNTAIN は 1972年の解散までに5枚のアルバムを発表しています。3作目の Nantucket Sleighride がMOUNTAIN の代表作と言われていますが、このバンドもライブがすべてであることを考えると 29分にも及ぶ ライブを含む4枚目の Flowers of Evil / 悪の華 を 代表作として薦めたいと思います。このライブでの ハーモニクスを駆使したギターソロから Rollover Beethoven, Dreams Milk & Honey へと続く展開は最高にすばらしく、この中での レスリー・ウエストとフェリックス・パッパラルディのギター・ベース バトルはロック史に残る程の圧巻で これを聴かずしてハードロックは語れないと思われます。

ギブソン・レスポール・ジュニア
 写真は レスリー・ウエスト愛用のギターである1954年製 ギブソン・レスポール・ジュニア




ギブソンEB-1
 写真は ベースのフェリックス・パッパラルディがその独特のサウンドにこだわり続けたギブソンEB-1

2011年4月13日水曜日

CLAPTON IS GOD


CLAPTON IS GOD





写真は 1965年頃、ロンドンの街中に現れた「CLAPTON IS GOD」の落書き。
この頃からクラプトンのギターの腕前は 神がかり的だったことが推察されます。







CREAM 再結成コンサート(2005年5月)






この写真は CREAM 再結成時の3人。
再結成コンサートは 2005年5月 2, 3, 5, 6 日に ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで、同年 10月 23, 24, 25 日に N.Y の M.S.G で行われました。公式盤ライブ CD, DVD も 2005年10月になって発売されましたが、bootleg 業界とは恐ろしい所でコンサートから3週後にはオーディエンス録音の素晴らしい音質の bootleg CD が 発売されていました。
この時、ジャック・ブルースが使っていた EB-1 ベースは 今は亡き MOUNTAIN のフェリックス・パッパラルディからプレゼントされたものだということです。

再結成コンサートはオリジナルメンバーでやって 意義があると思います。メンバーが健在だからできるのです。THE BEATLES, LED ZEPPELIN, QUEEN, THE WHO, PINK FLOYD がやろうとしてももうオリジナルメンバーでは再結成できません。




2005年 CREAM 再結成コンサートのBootleg

2011年4月12日火曜日

LIVE CREAM VOL.1 & VOL.2 ( CREAM )

LIVE CREAM VOL.1 (CREAM) / 1970年発売

LIVE CREAM VOL.2 (CREAM) / 1972年発売


ロックバンドにとって最小単位のメンバー構成は「 3 ピース 」であると言われています。その 3 ピースとは ドラム、ギター、ベース、または ギターではなく キーボードである場合もあります。そして その内の誰かが ヴォーカルをとるという構成です。そんな 3 ピースバンドの中でも先駆けと言われ、最も有名なバンドの一つが CREAM でした。

CREAM は ギターの エリック・クラプトン、ベースのジャック・ブルース、ドラムのジンジャー・ベーカーの3人で構成され、活動期間 1966年から1968年の2年間でオリジナルアルバム4枚、ライブアルバム3枚を残しました。ブルースとハードロック、サイケデリックロックを融合させたサウンドが特徴で、解散して40年以上経つというにもかかわらず、いまだに伝説のバンドとかスーパーグループという最高の賛辞を表す言葉は後を絶ちません。

エリック・クラプトンは 1965年にヤードバーズを脱退し、ジョンメイオール・ブルースブレイカーズに参加しました。この頃からロンドンの街中に「CLAPTON IS GOD」の落書きが現れ、「ギターの神」と呼ばれるぐらいの腕前と評価されていました。クラプトンは70年代以降、ギターは ほとんどフェンダー・ストラトキャスターを使っていますが、ブルース・ブレーカーズ時代に 60年後半から70年代ロックの基本的な音である distortion sound ( ディストーション・サウンド ― 歪んだ音 ) を ギブソン・レスポールとマーシャルアンプ( 真空管アンプです。なぜか真空管アンプでないと うまく歪まない )の組み合わせで完成させたことでも有名です。また ジミ・ヘンドリックスと共に ワウ( ギターの音色をコントロールするペダル式エフェクターの一種 )を取り入れ、当時の音楽シーンに多大な影響を与えました。

ジャック・ブルースは ポール・マッカートニー( THE BEATLES )、ジョン・エントウィッスル( THE WHO )、ジョン・ポール・ジョーンズ( LED ZEPPELIN ) と共に近代ベース奏法を確立した1人とされています。王立スコットランド音楽演劇アカデミー出身のチェロ奏者から ベーシストへの転身です。ハムバッカーピックアップ( フェンダーのシングルコイルピックアップより歪んだ音が出しやすい )のギブソンEB-3ベースと マーシャルアンプの組み合わせという 当時のベーシストとしては異様とも言える組み合わせで、 distortion を強力に効かせて、大音量で リズム楽器というより ギターの様に弾きまくったのです。まだ ベースの音を歪ませたり、ソロギターと同等の音量でベースを弾くことは非常識とされた時代に この様な個性的なことをやったベーシストは他には あまりいません。ジャック・ブルースとドラムのジンジャー・ベーカーはグループ結成前から あまり仲が良くなかったのですが、結成後もジャック・ブルースのベースの音がうるさいということで争いが絶えなかった様です。

ジンジャー・ベーカーは ジャズ出身のドラマーで エリックやジャックの長い即興プレイにもついてゆくことのできる強靭な精神力と肉体を兼ね備えた持久力 No.1ドラマーと評価されています。LED ZEPPELIN のボンゾの様な破壊力はありませんが、テクニック的には ずば抜けており、後世のロックドラマーに多大な影響を与えました。THE WHO のキース・ムーンと共に 2つのバスドラムを使用したパイオニアです。

この個性的な3人が繰り広げる大音量で 延々と続く improvisation ( 即興演奏 ) が CREAM の特徴であり、かつ魅力です。しかし 彼らの improvisation は起承転結がはっきりしており、延々と続いても不自然な感じが全くありません。これが彼らのすばらしさであり、それまでのバンドやロックと言うものの概念をことごとく打ち破り、後続のバンドである LED ZEPPELIN や DEEP PURPLE などに多大な影響を与えました。
CREAM は improvisation を特徴とするライブが魅力のバンドですので スタジオで録音されたアルバムよりも LIVE CREAM VOL.1,VOL.2 を薦めます。この2枚を聴いていると かつて 誰かが 「あいつらは楽器で戦争をしている」と言ったというのが 実に的を得た表現だと思われます。VOL.1, 2 は どれも名曲ばかりですが、中でも Sunshine of Your Love と Crossroads は人気投票でも常に上位にランクされるロックの歴史に残る名曲です。しかし、この様な緊張感の強い improvisation をいつもやっていたので 精神的に疲労しきってしまい、さらにメンバー同士のエゴの張り合いも続いたので たった2年で解散に追い込まれてしまったと言われています。
わずか2年間の活動期間でしたが 現在にまで通用するロックの基本スタイルを確立し、その後の多くのバンドに影響を与えた功績は大きいと思います。

解散コンサートが行われたロンドンの ロイヤル・アルバート・ホールで 2005年5月、37年ぶりに CREAM の再結成コンサートが行われました。60-70年代に活躍したロックグループの再結成コンサートは時にありますが、メンバーがすでに亡くなっていたりして なかなかオリジナルメンバーで復活するというのは 困難です。CREAM の再結成はあり得ないと 思われていただけに オリジナルメンバーで再結成されるということが発表された時には 信じられませんでした。( 再結成の前、ジャック・ブルースは肝臓がんで 肝臓移植を受けたそうです )


私が CREAM を初めて見たのは 1972年の NHK のヤング・ミュージック・ショーと言う番組でした。当時のNHK がこの様な洋楽のロックの特集を組むというのは お堅い NHK の体質からすると画期的なことでした。内容はロイヤル・アルバート・ホールでの解散コンサートだったと思います。今なら DVD で見ることが出来ます。初めて見た CREAM で一番驚いたのは ジャック・ブルースのベースでした。まるでギターの様にギブソンEB-3ベースを弾いていました。この時から現在まで ジャック・ブルースは 私の最も好きなロックベースプレイヤーの一人となりました。



NHKヤング・ミュージック・ショー放映リスト 
1971/10~1979/3
1971/10/24 クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル(ライヴ&ドキュメント)
1972/07/05 ローリング・ストーンズ(69/7/5ロンドン・ハイド・パーク)
1972/05/07 クリーム(68/11/26ロイヤル・アルバート・ホール)
1972/08/25 スーパーショウ(69/3ステーヴン・スティルス、バディ・ガイ、レッド・ツェッペリン、エリック・クラプトン、ジャック・ブルース、MJQ、ローランド・カーク他)
1972/10/08 エマーソン・レイク&パーマー 1973/03/17 ピンク・フロイド(71/10ライブ・アット・ポンペイ)

2011年4月1日金曜日

Jimmy Page 来日中止!


左からジェフ・ベック、エリック・クラプトン、ジミー・ペイジ、ブライアン・メイ(Queen)


4月3日に 長崎県美術館で開催中のスウィンギン・ロンドン展に ジミー・ペイジが来て トークショーをする予定になっていました。この機会を逃すと 一生会うことは出来ないと思い、一家総出で 徹夜して並んで入場整理券をいただこうと計画していました。ところが 原発事故のため 英国政府から渡航自粛勧告が出たとかで 1週間前になって急に来日中止になってしまいました。ジミー・ペイジは英国にとって人間国宝級であり、おそらくロンドンオリンピックの開会式のメインイベントに登場するはずの人物でもあるので 仕方がないでしょう。でも 残念です。こうなったら いつか ロンドンの The Tower House (ジミー・ペイジの自宅) に行ってやろうと思います。

写真は 左から ジェフ・ベック、エリック・クラプトン、ジミー・ペイジ、ブライアン・メイ ( Queen ) です。この方たちは 英国の外貨獲得、さらに ロックの普及と音楽産業の発展に貢献したので 英国にとっては 人間国宝級の価値があると言ってもよいでしょう。 しかし この時 女王陛下は この4人の名前をよくご存じなかったとか( 2005年03月02日バッキンガム宮殿に4人が招待された時の事)。

Guitar legends greeted by Queen

Eric Clapton and Brian May were greeted by the Queen
Rock guitarists Eric Clapton, Brian May and Jimmy Page were among musicians greeted by the Queen at a reception to honour British musical talent.
When the Queen asked "what do you do?", Queen guitarist May said that he had performed on the roof of Buckingham Palace at the Golden Jubilee concert.

"Oh! That was you, was it?" the monarch replied, before asking Clapton how long he had been playing the guitar.

Singer Geri Halliwell broke with protocol by arriving 40 minutes late.

'Fantastic'

The Queen is always expected to be the last person to arrive at a royal occasion, while Halliwell said it was "fantastic" to be invited to the reception as one of 500 guests.

"It's great to meet her - and it doesn't matter at all that she did not know who were are or what we do. I wouldn't expect her to," said Clapton, who has been a guitarist for 45 years.
( From BBC NEWS )


Scarlet Page
 ※写真右は ジミー・ペイジの実のお嬢様であるスカーレット・ペイジ ( Scarlet Page )。ロックアーティストなどを撮っている写真家です。



以下、長崎県美術館Hp.のお知らせです。

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■ 名称 【中止のお知らせ】 スウィンギン・ロンドン展関連企画 SPECIAL TALK SHOW(スペシャル・トークショー)
■ 会場 県民ギャラリーC
■ 期日 4月3日(日)14:00~15:00 ※開場は13:30。
■ 主催 長崎県美術館、エフエム長崎
■ 概要 ※誠に申し訳ありませんが、東北地方太平洋沖地震の影響により本イベントは中止となりました。何卒、ご理解いただきますようお願い申し上げます。


(イベント内容)
本展覧会のイギリス側の監修者であり、数多くの作品を出品していただいたマイケル・ホワイトウェイ。貴重なギターや衣装を出品していただいたジミー・ペイジ。そして、ジミー・ペイジの衣装などを手掛けたファッションデザイナーのポール・リーヴスに、「スウィンギン・ロンドン」と称された1950~60年代についてお話しを伺います。

日時:4月3日(日)14:00~15:00 ※開場は13:30
会場:県民ギャラリーC室
定員:先着300人 
※当日11:00より1F受付にて整理券を配布(要本展観覧券)。
※整理券は、一人につき一枚。なくなり次第終了します。
※整理券は、状況により配布時間が早まる場合があります。
※当日は、当館屋外の大型ビジョン及び館内ホールにて、パブリックビューイングを行う予定です。
※スペシャル・トークショーの様子は、後日当館ホームページ上で動画配信いたします。

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2011年3月9日水曜日

Jimmy Page

Jimmy Page
上の写真は 2003年の来日時、西新宿の bootleg shop を訪れた時の ジミー・ペイジです。当然 ZEP の bootleg は ただでいただいたと思いますが、パネルに店の名前を書いて自分のサインをしてくれています。本当に人の良さそうな方に見えます。

1959年製ギブソン・レスポール・スタンダード( 通称No.2 )
LED ZEPPELIN は超人的なテクニックを持った4人のmusician の集まりではありましたが、ジミー・ペイジなしでは成り立たないバンドであったことは間違いありません。1970年代から80年代にかけて、テクニカル派ギタリストが一世を風靡した頃には ペイジのことを下手なギタリストの代表の様に言う評論家がいたのも事実ですが、それは LED ZEPPELIN というバンドがロック界においてあまりにも神がかりなバンドになってしまい、ある時期においてそのバンドにふさわしくないギタリストとしてのプレーがあったからで 下手というのは間違いと思います。

ジミ・ヘンドリックスは別格として 速く弾くだけのギタリストがうまいというならば、ペイジよりうまい人はいくらでもいるでしょう。しかし ロックの名曲は ギターリフ一発で決まると言う ペイジの言葉どうり、彼ほど多く 頭に焼きつくギターリフを作った人は他にはそういないでしょう。技術的に見ても 1st, 2ndアルバムで聴くことのできるプレーは かなりのレベルだし、1968-1975年あたりの bootleg を含めたライブでのプレイはたいしたものだと思われます。だが その後がいけないのです。薬物の影響が 顕著に出てきていると言われる 1977年以降さらに ZEP解散後の80年代のプレイのひどさは素人でも分かる程です(1985年のライブ・エイド、1988年のアトランティック・レコード創立40周年再結成コンサートなどは You Tubeで見ることが出来ますが、コードチェンジもまともに出来ないくらいひどい状態です)。こういう不幸な時代をもって下手と表現されているのではないかと思われます。

CREAM 時代は「CLAPTON IS GOD」とまで崇められた エリック・クラプトンとジミー・ペイジを比較するのもどうかと思いますが、確かにテクニック的にはクラプトンにはかないませんが、クラプトンには 意外なことに 印象に残るオリジナルのギターリフが少ないのです。すぐに思いつくのは レイラやクロスロードぐらいです(クロスロードは ロバート・ジョンソンがオリジナルだし、名リフとされるCREAM 時代の Sunshine of Your Love もジャック・ブルースが主に作った曲です)。ところが ジミー・ペイジのリフはどれも鼻歌で歌えそうなものばかりで、最たるものは「 Stairway to Heaven - 天国への階段 」でしょう。
こういうわけで ジミー・ペイジはプロデューサー、アレンジャーとしての才能を兼ね備えた類いまれなギタリストと言えるのではないかと思います。

21 世紀になって 洋楽が衰退して歴史に残るロックの名曲と言うものがなくなってしまったような気がします。その原因の1つとして 一度聴いただけで 頭に残るようなリフを持った曲がなくなった、あるいはリフ重視の曲つくりをしなくなったというのがあるのではないでしょうか。70年代のロック黄金期を知らない今の若者には是非一度 このblogで紹介する曲を聴いていただいて、後世まで残る名曲となるためには ギターリフ ( guitar riff ) の出来が いかに重要な部分を占めるかと言う事を知っていただきたいと思います。

※写真の1959年製ギブソン・レスポール・スタンダードはジミー・ペイジのトレードマークともされています。

2011年2月26日土曜日

LED ZEPPELIN bootleg-4

PLAYS PURE BLUES (bootleg / LED ZEPPELIN)


あと2枚ほど お薦めのbootlegを紹介したいと思います。

上の写真は PLAYS PURE BLUES というサウンドボード音源です。LED ZEPPELINの最初期のライブで 1969年8月31日の Texas International Pop Festivalに出演した時の録音です。同じ初期の BBC ライブよりもはるかに迫力のある演奏で音質も最高です。初期の頃のロバート・プラントのボーカルは十分な伸びと高音の迫力がすばらしいです。さらに ジミー・ペイジのギターも 後期のライブと比べると 昔はこんなにうまかったのかと感心させられるくらいの出来です。今から LED ZEPPELIN を聴く人には難解かもしれませんが、初期のブルース色に染まっていた頃のサウンドに魅力を感じます。

FLYING CURCUS (bootleg / LED ZEPPELIN)


上の写真は FLYING CIRCUSというサウンドボード音源です。1975年2月12日のNY, MSGでのライブです。この音源は2002年暮れに突如出現して多くのZEPファンの度肝を抜いたと言われています。なにせ、ほぼそのまま公式盤ライブと しても通用するくらいの、最高の音質とバランスを備えた音源だったからです。音質はTHE DESTROYERS を超えているかもしれません。Physical Graffitiからの曲が入っているのも貴重です。

2011年2月22日火曜日

LED ZEPPELIN bootleg の歴史的名盤-3

LISTEN TO THIS, EDDIE (LED ZEPPELIN)


LED ZEPPELIN : THE CONCERT FILE という本がありますが、それによると1968年から1980年までの間、LED ZEPPELINは世界中のあらゆる地において、500回以上のコンサートを行った記録が残されています。この中で不完全でもbootlegで聴くことのできるライブは約300公演です。そして、まだ音源として陽の目を見てない公演は数多くあるとされています。バンドとしては既に存在してませんが、これから新しいライブ音源が発掘される可能性は残されています。

上の写真はオーディエンス録音ですが LED ZEPPELIN bootleg 史上、 最高傑作とされている「Listen To This, Eddie」です。1977年6月21日のLos Angels Inglewood Forum でのライブです。音質や演奏自体は1973年の公式ライブ盤 How The West Was Won にはかないませんが この日の演奏のテンションの高さは特別で 初期の頃に戻ったかのようです。気分を高揚させる葉っぱの煙でも吸い込んでいたのでしょうか。また、bootleg だからできる事で 開演前の音出しの部分からコンサートすべてが録音されており、その興奮した雰囲気が手に取るように分かります。1977年頃になるとロバート・プラントの声も高音が出なくなったり、ジミー・ペイジのギターも調子のよくない日が多いなど初期の迫力が見られなくなったと言われますが、そんな評判も吹き飛ばすかのような演奏がこの日です。とにかく この日は後期のLED ZEPPELIN でも特別な日で、中でもボンゾのドラムは特別で いつもよりかなり打数が多く、異常な興奮状態にあったのではないかと思われます。この日の演奏が公式ライブ用として録音されてなかったのが実に残念です。むしろ 録音されてなかったからこの様に遠慮なくすごい演奏ができたのかも知れません。

題名の「Listen To This, Eddie」のEddieは Eddie Van Halen のことですが、彼が「ジミー・ペイジなんて たいしたことないよ」と言ったとかで、それに対して この日の ジミー・ペイジの演奏があまりにもすばらしかったので「Eddie, これを聴いてみろ」という題名になったと言われています。とにかく この様な特別な日の演奏が bootleg という形でも歴史に残されていることはすばらしいことで LED ZEPPELIN のファンには是非一度聴いてもらいたいアルバムです。

THE DESTROYERS (LED ZEPPELIN)


上の写真は サウンドボード音源の最高作とされる「The Destroyers」です。1977年4月27日の Cleveland Richfield Coliseum でのライブです。
この日が有名なのはbootleg としては極上の音質のせいであって たまたまサウンドボード音源が流出したため脚光をあびたのですが、演奏自体が「Listen To This, Eddie」みたいに評価されたわけではありません。しかし この音質は bootleg の常識を覆してしまいます。また 曲の一部が欠損している所がありますが、bootleg では仕方のないことで この音質の前には少々のことは許されてしまいます。

2011年1月27日木曜日

LED ZEPPELINのbootleg(海賊盤)について-2

Topaz (bootleg/Eric Clapton) / 2006


海賊盤CDといわれるものは 大きく分けて次の3つに分けられます。

(1) カウンターフィット(Counterfeit)盤: 正規盤の内容・装丁をそのままコピーして 正規盤に似せて製造した複製品
(2) パイレート(Pirate)盤: 正規に発売されたアルバムの内容をそのまま、あるいは主に曲単位で独自に編集する形で(ベスト盤など)コピーした物
(3) ブートレッグ(Bootleg): アーティストの未発表音源やコンサート会場で隠し録りされたかスタッフがサウンドチェックのために録音した音源を権利者側の未承諾のままにCDとして製作した物で 西新宿で購入できる海外アーティストのCDはこのブートレッグのことです。

日本では法的には(1)(2)は著作権法違反ということで取り締まられますが、(3)のブートレッグに関しては大手販売店が取り締まられた例はほとんどありません。しかし、諸外国では海賊盤に対して厳しい国も多く、知的財産権保護に積極的なアメリカでは海賊盤を店頭に置くだけでも処罰の対象となります。なお 現在の所、購入・所持することまで違法とする国はありません。このため 海外のミュージシャンでブートレッグを手に入れるために来日のたびに西新宿を訪れるマニアがおり、中でも LED ZEPPELINの ジミー・ペイジ、King Crimsonの ロバート・フィリップは有名です。また 元MLBのランディー・ジョンソンもブートレッグコレクターです。

ブートレッグの録音には オーディエンス録音とサウンドボード録音があります。オーディエンス録音とはコンサート会場で客席からカセットテープレコーダーや最近では DATなどを使ってコンサートをこっそり録音したもので、録音場所により音質は様々です。サウンドボード録音とは ミキサーなどを通した配線からの録音でライブにおけるスタッフのサウンドチェック用の音源が密かに流出したものです。つまり そのアーティストの関係者内部の人間が意図的に流出させた音源ということになります。サウンドボード録音はプロが録音したものでステレオ音源のことが多く、音割れや歪みが少なくて音がよいとされていますが、オーディエンス録音でも録音機器の進歩により、臨場感にすぐれたすばらしい録音の物もあります。

上の写真は 2006年のEric Clapton の日本武道館公演のbootleg CD。

下の写真は1971年のLED ZEPPELIN 初来日の際の日本武道館公演のbootleg CD

A HARD ROCK NIGHT (bootleg/LED ZEPPELIN) / 1971年

2011年1月12日水曜日

LED ZEPPELINのbootleg(海賊盤)について-1


 
Jimmy Page -01Jimmy Page -02


写真は2003年に西新宿著作権無法地帯(都民銀行の近く)のbootleg shopを訪れた ジミーペイジ先生です。来日されると必ず西新宿に立ち寄られます。LED ZEPPELINのbootleg を集めるのが趣味とのことですが、訪れた店のZEP関連の物は 全部ただで ごっそり もらって帰られるそうです。このため 来日の情報が入ると店じまいする所もあるとか。その代わり 店にはこのような写真をお礼に残して帰られます。自分のbootlegを持って記念撮影に応じてくれるアーティストなんて他にはいないでしょう。

お店の方には無断で写真を使わせてもらってすみません。私は東京に行くたびに西新宿に寄ってbootを買っていますのでお許しください。いつかジミー先生に遭遇できるといいのですが。
元MLBのランディージョンソンも常連です。

HOW THE WEST WAS WON | LED ZEPPELIN [DVD]



HOW THE WEST WAS WON ( LED ZEPPELIN ) / 2003年5月27日発売
 
LED ZEPPELIN のライブアルバムとしては 1976年に発売された1973年の北米ツアーのMSGにおけるライブを収録したThe Song Remains The Sameというアルバムがありますが、これは本来、同名の映画のサウンドトラックアルバムとして製作されたものでした。ところが この映画は その製作過程において 撮影自体がうまく行っておらず、使えるフィルムがわずかしかないことが判明したため、後にロンドンのスタジオでMSGのステージを再現して演奏を一部 撮り直しせざるを得なくなり、その結果、編集だらけのアルバムになって、真のライブアルバムとは言えない物になってしまいました。ジミーペイジでさえもこのアルバムを快く思ってないという話があります。しかし、その後は長いことbootlegでも手に入れない限り、このアルバムがZEPのライブパフォーマンスを伝える唯一の公式アルバムでした。

1997年にBBC SessionsというBBCでのライブが発売されました。しかし これはデビュー間もない1969年頃のZEPの音を高音質で聴けるということに意味がありますが あくまでもスタジオ・セッションということで 彼らのライブとしては かなりおとなしい部類に入ると思われます。
そういう理由で 2003年に発売された「 How The West Was Won/伝説のライブ」は 真の意味でのZEPの初のライブと言えるアルバムです。タイトルのHow The West Was Wonは「西部開拓史」の引用です。このアルバムは1972年6月25日のInglewood California Great Western Forumと2日後のLong Beach California Long Beach Arena のコンサートの中で 出来のよい曲を集めて1日のコンサートの様にしたアルバムです。このアルバムはbootlegとして出回っている同日のアルバムと比べても編集の跡がほとんどないとされており、初のライブアルバムといえるものです。

内容はどれもおなじみの曲ばかりですが、今まで音の悪い bootlegでしか聴けなかったライブ演奏がかなりの高音質で聴くことが出来ます。ジミーペイジは雑誌のインタビューで「バンドが最高の状態にあった時のライブだ」と絶賛しています。彼の言う通り、ギターサウンドはこのアルバムをもってジミーペイジ全盛期のギブソンレスポールとマーシャルアンプからなる ZEPサウンドとみなしてよいのではないでしょうか。また、ロバートプラントの声の状態が悪化する直前のツアーであるともされ、かなり貴重なライブでもあります。

曲では23分にもおよぶ Whole Lotta Loveは圧巻で中間部のロックンロールメドレーでは最高のバンドのノリを聴く事が出来ます。しかしジミーペイジのリフもロバートプラントのボーカルも格好いいのですが、やはり すごいのはボンゾのドラムで 彼の様なパワーのあるドラマーは今のロック界にはいません。

このようなライブアルバムがどうして解散から23年も発売されなかったのかが不思議です。ジミーペイジは他のメンバー(プラント)の同意が得られなかったと言っていますが、詳細は不明です。
LED ZEPPELIN を初めて聴く人はこのアルバムから聴くのもよいでしょう。彼らの音楽は解散から30年以上経った今でも最高であり、そして我々が1970年台前半に夢中になった音楽がこれだということを是非知ってもらいたいと思います。

このアルバムは全曲で約150分と彼らのコンサートとしては短めの演奏時間にまとめられていますが(当時のZEPのコンサートは前座なしの3時間ぐらいはあたりまえで 大阪講演では4時間近く演奏した)、内容的にはまさに「伝説のライブ」と言ってもよいものでしょう。



LED ZEPPELIN [DVD] / 2003年6月11日発売(英)
 
世界最強のロックバンドLED ZEPPELIN はカメラ嫌いで有名で良質な映像はあまり残っていません。これまで公式に発表された映像は映画「The Song Remains The Sameー狂熱のライブ」のみで これは撮影時のトラブルのため 後から編集を加えて つぎはぎだらけとなってしまい純粋なライブ映像と呼べるものではありませんでした。

このDVDでは初期のRoyal Albert Hall, Earl's Court(1975), Knebworth Festival(1979)の映像が中心となっており、未発表の音源や映像を一部はbootlegからも集めて編集したものです。よく言われることですが、これはロック音楽史上、奇跡の瞬間を映像として記録したビデオです。中でもEarl's CourtでのStairway to heaven-天国への階段 の中間のアドリブギターソロはジミーペイジの調子もよかったらしくZEPのライブ史上では 最高の出来ではないかと思われます。また、このDVDのおかげで初めて見ることのできたKnebworthでのAchilles Last Standは ギター1本でここまで演奏できるのかと改めてジミーペイジの能力に驚かされました。

約230分通して見てみて、LED ZEPPELINというバンドが現在に至るまで世界最強のロックバンドであり続けたということを再認識させられました。
いろいろ説明するより ZEPを知らない人、まだ見たことのない人は とにかくこのDVDを一度見ていただきたいと思います。映像作品で この質で しかも30-40年も昔の演奏であるなんてことは 奇跡と言ってもよいのではないでしょうか。